一般的な不安の水準を超え、生活に支障をきたすような不安が日常的に続くと不安障害と呼ばれます。ここでは、私たちにとっても身近な不安障害について詳しく解説します。
不安障害の原因
発症の原因ははっきりしないことが多いですが、遺伝や環境的なストレスの影響を受けやすいのは確かです。うつ病など他の精神疾患を合併しやすいのも特徴です。
不安障害の症状
何かに対する強い不安で生活に支障が出ています、症状は不安だけでなく、眠れない、落ち着きがない、疲れやすい、集中できない、イライラする、筋肉が緊張するなどの症状を伴います。
不安が少ない人と分かり合えない
不安が強い人と少ない人は分かり合えないことが多いです。不安が少ない人は不安が強い人のことを「なぜそんなに心配するのか分からない」と感じ、不安の強さを軽視しがちです。家族間でも往々にしてこのような状態となり、孤立することでさらに不安が強まります。逆に不安が強い人同士では理解しあうことができます。
不安障害の種類
以下であげる不安障害が代表的ですが、どれにもあてはまらず「特定不能の不安障害」と診断することも実際には多いです。大事なのはどの不安障害かではなく、不安障害であることを認識することです。
・全般性不安障害
さまざまな出来事に対して過剰な不安を感じ、落ちつかない状態が6ヶ月以上つづいています。
・社交不安障害
人前で話すなどの状況で強い不安や恐怖、緊張を感じ、日常生活に支障が出ます。若い人に多いです。
・パニック障害
激しい恐怖または強烈な不快感が数分以内にピークに達するパニック発作が繰り返されます。パニック障害の発作は一般に予期できませんが、他の精神疾患に伴う発作は状況に依存し予期されやすいです。
・広場恐怖症
「広場」とついていますがこれは歴史的な用語で、人混みや電車など容易には脱出できない場所に恐怖を感じます。パニック発作に続いて発症することも多いです。
・限局性恐怖症
高いところが怖い(高所恐怖)、先が尖った物が怖い(先端恐怖)など、特定の状況で強い不安を感じ、その状況を回避します。
不安障害の対策
薬を飲む
不安は一般に精神科で処方される薬がよく効きます。不安障害の方は一般に薬に対する不安も強いですが、合う薬が見つかればすっと楽になる方が多いのも特徴です。
受け入れる
不安は生体防衛反応であり、必要な部分もあります。不安があることによって、本番で高いパフォーマンスを発揮することもできます。私たちに必要なのは不安を消すことではなく、適切な水準にコントロールすることです。ある程度の不安は受け入れ、過剰な不安、自分の心を不必要に追い詰める不安は減らすように心がけましょう。
慣れる
特定の状況で不安を感じる方は、比較的負荷の低い状況から慣れていくことで「何も起きない」ことを学習し、不安を減らすことができます。
行動する、運動する
行動することで不安が減ります。座っているよりは立って、行動したり運動することで不安が減るので、薬に頼りたくない方におすすめです。おすすめの運動はリズミカルで勝ち負けのない、ウオーキング、ランニング、スイミングなど。筋トレも有効です。少しずつ負荷を増やしていきましょう。