気分があがっている「躁」状態と気分が落ち込んでいる「うつ」状態を繰り返す病気で、双極症、双極性障害、双極性感情障害ともいいます。気分変動が特徴ですが、数日以上同じ状態が続くのが普通で、1日単位、時間単位で気分が変化するものは基本的には躁うつ病ではありません。

躁うつ病の原因

 詳細不明ですが、遺伝の影響は少なからずあります。血のつながった家族に躁うつ病がいる方は要注意です。

型とⅡ型がある

 一般には若年で発症した後、躁(あるいは軽躁)状態とうつ状態を繰り返しますが、躁メインのⅠ型と、うつメインのⅡ型があります。

双極Ⅰ型障害

 激しい躁状態とうつ状態を繰り返す方です。一般に躁状態の問題行動の程度がひどいですが、うつ期も少なからずあります。躁状態で入院したことがある方は、ほぼⅠ型と思って間違いありません。

双極Ⅱ型障害

 大半がうつ状態ですが、まれに気分があがって軽い躁状態になります。繰り返す難治性のうつ状態に疲弊する人が多いです。うつ病との区別が難しいことがあります。

躁症状

 多額の浪費をしたり、性的に活発になったり、急に活動的になったり、ほとんど寝なくても大丈夫だったりします。多弁で自信に溢れ、誇大的で、気分が高揚して幸せそうな方もいますし、イライラしている方もいます。

 「いつもは人見知りなのに今は自分から話しかけに行ってしまう」「お酒の量が増えた」「急にバイトを始めた」など、人それぞれ躁を示唆するサインがあります。

うつ症状

 うつ病同様に気分の落ち込みや意欲低下、睡眠障害をきたしますが、躁うつ病の方が(不眠よりも)過眠になりやすい傾向にあります。活動性の低下に悩む方が多く、自殺にも十分な注意が必要です。

躁うつ病の治療

 薬物治療が基本で、気分の波の程度を減らします。炭酸リチウムやカルバマゼピン(テグレトール®)、バルプロ酸(デパケン®)、ラモトリギン(ラミクタール®)といった気分安定薬のほか、ルラシドン(ラツーダ®)など抗精神病薬を主剤にすることもあります。一剤で十分なコントロールが得られないことも多く、二剤、三剤と併用することがあります。十分なコントロールが得られない場合、抗うつ薬を併用したり、気分変動に注意しながら抗うつ薬単剤への切り替えを行うこともあります。

 薬物療法以外では、ストレスの少ない環境にいることや、運動習慣をつけることをお勧めします。特に無投薬を目指す方は意識してください。一緒に暮らす家族が躁うつ病について理解することも大切です。うつ期で活動性が低下した状態を怠けていると感じる人が多いからです。この理解されづらさも躁うつ病の特徴と言えます。