9/27開院しました

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検査の意義

 2024年9月27日に開院してから一か月が経過しました。もともと関わりのある方だけでなく、たくさんの方に来ていただいていて嬉しく思います。初診はおよそ2週間待ちの状態ですので、お早目の予約をお勧めしています。

 本日は検査の意義について、少しお話をさせてください。

 当院は心療内科・精神科を標榜しており、近隣内科に通院されている方も多いことを考えると、採血や心電図の必要性が必ずしも高いわけではありません。それでも処置室を作り、検査できる日を作っているのは理由があります。

 一つ目は、体の不調を(一部であっても)除外できるということです。貧血や甲状腺機能低下症など、心の病気と見分けるのが難しい病態も多く、こういった方がいくら心の治療を頑張っても当然ですがよくなりません。一般的な採血項目に新規の異常がないことは治療の大前提になりますが、診察時点で私たちが知りたい項目がまだ検査されていないことが多いです。

 二つ目は、薬の副作用です。比較的安全なイメージのある漢方薬も含め、肝臓や腎臓に障害をきたす可能性のある薬が少なくありません。長期の内服で臓器に大きな障害を受けないよう、処方内容が安定してきた方は1度、血液検査をしておくことをお勧めします。

 三つ目は、生活習慣病になっている方が多いことです。健康診断でひっかかった覚えのある方もいると思いますが、心が辛いとついつい過食になって、糖尿病や脂質異常症、肥満のリスクが上がったりします。また、一部の向精神薬は糖尿病や脂質異常症を悪化させます。生活習慣病は早めに気づくことで、将来の心筋梗塞や脳梗塞といった致死的な病気を予防できます。見つかった段階で生活習慣の改善が促されますし、一般的な処方でしたら当科でもお出しするので、特に家族に生活習慣病のある方、ご自身でそのリスクが高いと考えている方は定期的な採血をお勧めします。

 心電図についても、異常があると使えない、あるいは使わない方がよい薬があります。代表的な薬として抗うつ薬のエスシタロプラムは「QT延長」という所見があると使えませんし、ドネペジルなどの抗認知症薬も脈が遅かったり、QT延長があると使いづらいです。内服により心電図所見が変化することもあり、可能な限り、ご自身の体の状態が安全であることを確認したいと思っています。

 他院の結果を持ってきていただければ可能な範囲で評価しますし、当院の検査結果は後日、印刷してお渡しするので他院にも報告できます。最近検査をしていない、あるいは定期的に抗うつ薬や抗精神病薬などの大事な薬を内服するようになった方は一度検査することをお勧めします。もちろん、追加で費用もかかることですし、「やっぱり異常なかった」と思われることもあるので無理に勧めるつもりはありませんが、検査を勧める背景にはこういった事情があることをご理解いただければ幸いです。

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